【Jリーグ】できる限りわかりやすくプロA契約枠の対象外とホームグロウン(HG)制度について解説

プロA契約上限人数から対象外となる選手とホームグロウン制度について深掘りサッカー
プロA契約上限人数から対象外となる選手とホームグロウン制度について深掘り
2024年1月11日追記

https://www.jfa.jp/about_jfa/report/PDF/k20240111_02.pdf

(1)選手登録できるプロA選手は、第2種(ユース)登録選手も含め、クラブ全体で25名(ただし、2024年シーズンは27名以内(以下「25名枠」という)とする。

2024年シーズンに限り、オリンピック開催に伴う特例措置としてプロA契約枠が25名から27名に拡大されました。
本稿は特例措置以外のシーズン(通常シーズン)のことについて記述しています。あらかじめご承知おきください。

1月は各クラブの活動が始動しはじめ、1月後半からはキャンプインして練度を上げ始める頃合い。
ほとんどのクラブではキャンプまでに選手との契約事情を大方まとめていると思うが、その契約に関する悩みどころの1つに、プロA契約人数の上限ホームグロウン選手(以下HG)の都合がある。

一般的なファンサポーターであれば気にかけることの少ない項目であるが、クラブにとっては悩みのタネである。

今回はそんなプロA契約人数の上限HG選手について、できる限り噛み砕いて解説してみようと思う。

そもそもプロA契約とは

プロサッカー選手と一括りにして言っているが、実は3種類の形態、通称ABC契約が存在する。
この契約形態が本稿で一つの肝となるため、簡単に説明する。

プロC契約

どんな選手でも基本的にはこの契約からプロ生活が始まる。
年俸上限は460万円。

J1で450分、J2で900分、JFLで1350分以上の試合出場を果たせば、プロA契約か次に説明するプロB契約を結ぶことができる(※「できる」というより「しなければいけない」と表現するほうが正しい)。

プロB契約

非常に稀な契約形態。年俸上限はプロC契約と同じく460万円。

一度プロB契約もしくはプロA契約に切り替えた場合、プロC契約に戻すことができなくなる。
ただし先述の通り年俸上限はプロC契約と同じ460万円で、なおかつプロA契約上限問題に引っかからない契約のため、下位カテゴリ(J2やJ3)のクラブではたまにプロB契約選手が誕生したりする。

プロA契約

年俸に上限はなく、クラブと選手が合意しているのであれば年俸100億円といった途方もない金額でも契約できる。海外からの助っ人選手だったり国内の有力選手は当然このプロA契約。というより、上位カテゴリ昇格やタイトルを狙うクラブがプロ選手が460万円で雇えるなんてことほぼありえないため、基本的にはC契約終えたら皆プロA契約に移行する。

ただしプロA契約できる人数は上限が定められており、1クラブ25人まで。翌年ACL出場チームは27人まで。
J1なら下限15人・上限25人、J2なら下限5人・上限25人の人数がプロA契約できる。
(※プロA契約選手の人数は下限も上限も遵守する必要がある)

本稿ではこのプロA契約が関わってくる。

プロA契約上限とアカデミー出身者の関係

先述の通り、クラブはプロA契約できる人数の上限が設定されているため、原則として25人の強力な選手をいかにして集めるか迷いどころ。お金のあるクラブなら何十億円単位で強化費に使い、25人以上のプロA契約をしたいところだが、上限費引っかかる…。

ところが、その上限を超えてプロA契約をすることも可能である。それが本題のプロA契約対象外の選手。
この場合の対象外とは、B契約やC契約にしてA契約人数上限に触れないようにするのではなく、文字通り25人の上限を超過してA契約をする手法(というより戦略)である。

アカデミー出身者はプロA契約人数として計算されない

ジュニアユースおよびユースに3年所属していた選手は、運営母体のクラブではA契約人数としてカウントされない。 アカデミー出身者ではなく、別クラブのユースや高校から加入した高卒選手はホームグロウン対象となる可能性がある。

今回は架空のクラブ、ブルーシーFCというクラブ視点で説明していく。

結論から先に申し上げると、自前のアカデミー組織(U-18, U-15)出身の選手であれば、プロA契約の人数として計算されない

Jリーグで活動するためには、各クラブがアカデミー組織を所有・運営している必要がある。
ブルーシーFCであれば、ブルーシーFCユース(U-18)ジュニアユース(U-15)がこのアカデミー組織に該当する。

自前のアカデミー組織に3年以上在籍した選手は、運営母体クラブとの契約に限りA契約人数としてカウントされなくなる。
ブルーシーFCを例にすると、ブルーシーU18に3年在籍してその後トップ昇格。プロA契約を締結しても、プロA契約人数としてカウントされないのだ。つまり1クラブに26人以上(ブルーシーアカデミー出身者がブルーシートップに在籍している人数によってはそれ以上)のプロA契約が可能となる。

なおこのA契約上限の対象外となるのは、あくまでも自身のアカデミー出身者のみ。
たとえばFCレッドオーシャンアカデミー出身の選手がブルーシーFCのトップと契約しても、ブルーシーFCのA契約人数上限は規定通り25人のまま。この場合はFCレッドオーシャンでしかA契約上限の対象外とならない。

ホームグロウン制度(HG制度)とA契約人数の上限

①ホームグロウン選手の定義
12歳の誕生日を迎える年度から21歳の誕生日を迎える年度までの期間において、特定のJクラブの第1種、第2種、第3種又は第4種チームに登録された期間(以下、本条において「育成期間」という。)の合計日数が990日(Jリーグの3シーズンに相当する期間)以上である選手を、本条において当該Jクラブのホームグロウン選手という。

②ホームグロウン選手の登録義務
Jクラブの第1種チームは、当該シーズンの初回の登録ウインドーの終了日(以下、「カウント基準日」という。)において、次に定める人数以上のホームグロウン選手を登録していなければならない。
2019年シーズン  J1:2名 J2/J3:0名
2020年シーズン  J1:2名 J2/J3:0名
2021年シーズン  J1:3名 J2/J3:0名
2022年シーズン  J1:4名 J2/J3:1名
2023年シーズン  J1:4名 J2/J3:2名
2024年シーズン  J1:4名 J2/J3:2名

プロサッカー選手の契約、登録および移籍に関する規則(抜粋)

Jリーグにはホームグロウン制度(以下HG制度)という制度が存在する。
(※諸外国にも類似した制度が存在する)
自前のクラブアカデミー出身者高卒加入後連続3年在籍選手はこのHGに当てはまる。特別指定選手の特別指定期間は在籍期間に含まれない。

混同しやすい点なので大きく太文字で特筆しておくと、HG制度を満たした選手だからといって、必ずしもA契約上限人数の対象外になるわけではないという点

A契約上限人数の対象外となるのは、自前のアカデミー出身者でなおかつ運営母体のクラブトップで契約している選手。つまり自前のアカデミー出身でトップ昇格した場合、A契約上限対象外かつHG選手として扱われる。それゆえ各クラブはできる限りアカデミー出身者を自身のトップクラブで活躍させた方が、選手の幅を拡げやすい。

では地元や地方の高校からプロクラブと契約した場合はどうなるのだろうか。
まず最初の3年はホームグロウン選手として算入されない。3年間同じクラブに在籍している場合に限り、4年目からHG選手として扱われる。

ただしA契約上限人数の対象外として扱われるのは、あくまでも自前のアカデミー出身者に限られる。自前のアカデミーに3年在籍していない高卒選手や大卒選手・移籍選手がブルーシーFCに加入したとしても、A契約上限人数の対象外としては扱われない。高卒で初年度からブルーシーFCに3年在籍した場合は、HG選手として登録される。

HG制度はカテゴリ問わず設定されており、J1なら4名以上、J2・J3なら2名以上のHG選手が在籍している必要がある。ではその下限を下回った場合はどうなるのか。ずばり、不足しているHG選手の数に応じてA契約人数上限が減少する

J1のブルーシーFCに高校卒業と同時にトップ加入して、18歳~21歳の間に3年以上連続して在籍した選手が3人いる。アカデミー出身者は0人とする。そうなった場合、J1は4人以上のHG選手が在籍している必要があるため、1人不足している。そのため、A契約人数上限である25人から1人引いた24人までしかA契約できない。

A契約人数上限HG制度のかんたんなまとめ
  • A契約人数上限の対象外となるのは、自前のアカデミー出身者に限る
    ※アカデミー出身でトップ昇格した選手は、A契約契約上限対象外+HG選手として登録される。
  • 自前のアカデミー在籍歴がない高卒選手は、18歳から21歳までの間に3年在籍すればHG選手として登録される
    ※【重要】18歳から21歳までの間に期限付き移籍した場合も育成期間に含まれる

HG制度と期限付き移籍

将来有望な高卒選手とはいえ、いきなり上位カテゴリのトップでしのぎを削りあうのは難しい。
1年目は自身のクラブに所属させて試金石として起用、2年目は試合に出て成長させる意味合いを込めて他クラブに期限付き移籍(育成型期限付き)させるケースが多い。

ここでふとした疑問が生じる。
18歳~21歳の間に期限付き移籍している選手はどのクラブのHG育成期間として扱われるのか。

前項で説明した通り、HG選手として登録するには18歳~21歳の間に3年間在籍させる必要がある
では2年目や3年目に期限付き移籍させたらどうなるのか。結論から申し上げると、期限付き移籍していても移籍元のクラブの育成期間としてカウントされる

なおここでの説明についてだが、「移籍」は選手が元から所属しているクラブ、「移籍」は選手が期限付き移籍している移籍先クラブとして考えてほしい。

ブルーシーFCに高卒で加入。初年度から3年目まで同クラブに在籍。
この場合は問題なくブルーシーFCのHG選手としてカウントされる

ブルーシーFCに高卒で加入したが、選手に出場機会を与えるため他クラブのFCレッドオーシャンに期限付き移籍。その後3年目までレッドオーシャンに期限付き移籍し、4年目からブルーシーFCに復帰。この場合でも、ブルーシーFCのHG選手として登録されるFCレッドオーシャンに3年所属していたが、期限付き移籍のためレッドオーシャンのHG選手としては登録できない。

ブルーシーFCに高卒で加入したが、選手に出場機会を与えるため他クラブのFCレッドオーシャンに期限付き移籍。2年目まで期限付き移籍したが、3年目でFCレッドオーシャンに完全移籍したとする
この場合、ブルーシーFCでの育成期間は2年(期限付き移籍期間の2年)、FCレッドオーシャンでの育成期間は1年として計算するため、どちらのクラブのHG選手としても登録できないことになる

HG制度と期限付き移籍のまとめ
  • 18歳~21歳の間に3年間在籍した選手はHG選手として登録できる
  • 18歳~21歳の間に行われた期限付き移籍は、移籍元クラブでの育成期間として計算される

余談

ここまで読んでいただいた方ならなんとなく察するかもしれないが、HG選手は複数クラブ登録することができる

春名 竜聖:水戸ホーリーホック:Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)
J1、J2、J3全てのクラブプロフィール、選手名鑑をこちらからご覧いただけます。

最近の例で言えば、春奈竜聖選手はセレッソ大阪U-15およびU-18の出身だが、水戸ホーリーホックへの加入を果たした。2024年時点ではまだ満たせていないが、このまま2025年末まで水戸に在籍していれば、セレッソ大阪と水戸ホーリーホックのいずれでもHG登録できる。
(※セレッソ大阪との契約はA契約人数上限の対象外にもなる)

ここからは例え話のため、そんなことも有りうるのか~という感情で読んでほしい。
とある選手が中学時代はセレッソ大阪U-15で3年過ごし、高校からはガンバ大阪Uー18で3年を過ごす。そして高校卒業と同時に京都サンガで3年間在籍した場合、C大阪とG大阪ではA契約人数上限対象外となり、C大阪・G大阪・京都の3クラブでHG選手として登録できるのだ

3クラブでHG選手登録できる選手は正直聞いたことはないが、ジュニアユースの3年とユースの3年はいずれも異なるクラブに在籍していたという選手、もしくはユース卒業後(高校卒業後)内部でトップ昇格せず別クラブの選手として加入するケースは少なからず存在する。

調べれば調べるほどややこしい制度が、このA契約人数上限対象外とHG制度である。

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