【規約・規則】京都サンガF.C.と横浜FCの一戦で発生した珍しいレッドカードについて考察する

サッカー

2023年6月24日、J1リーグ第18節京都サンガF.C.-横浜FCの試合において、なかなか珍しい退場劇が発生した。

前半AT2分、控え選手である横浜FCの選手がレッドカードで一発退場となった。

今回はこの珍事について少し深掘りする。

前半45分過ぎの出来事

前半終了間際、競り合いの末ボールはラインを割る。
副審は京都ボールを示す

京都はスロワーを一度変えた後にスローインをしようとしているのだが、スローイン時のこのような状態。
すぐ近くでアップしていた横浜FC控え選手の多くが副審及びスロワーの付近まで近づき抗議を続ける。
このあとレッドカードが提示される選手は、副審の手前、中央に映っている横浜FCスタッフの左手に立っている選手。

このスローイン直後に試合が止められる。
試合が止まっている間、主審と副審はコミュニケーションをとり、ジャッジが正しいのか、VAR室も含めて相談していたのだと思われる。(※ここについてはただの推測にすぎないので注意)

一段落ついたところで、主審が横浜FCの選手を呼び出し、レッドカードを提示した。

レッドカードを提示された控え選手はまさかといった表情。当該選手は抗議するも判断は覆らない。

なおこのレッドカード提示直後についてだが、VARでの確認も行われていた。

当該選手はVARチェックが行われたのち、正式に退場となった。

主審への猛抗議とスロワーに近寄りすぎたのが原因か

京都側はこのあとにスロワーを変更するのだが、変更前に当該選手はこの距離感で抗議をしていた。
たしかに抗議にしては距離が少々近すぎるというか、スロワーに近すぎる(=競技を妨害している)気がしないこともない。

懲罰規程

サッカー競技規則2022/23 | 日本サッカー協会
競技規則ページです。サッカー競技規則の各条項(第1条~第17条)を、Webページ形式で確認できます。

退場となる反則
競技者、交代要員または交代して退いた競技者は、次の反則のいずれかを行った場合、退場を命じられる。

・ハンドの反則を行い、相手チームの得点または決定的な得点の機会を阻止する(自分のペナルティーエリア内でゴールキーパーが手や腕でボールに触れた場合を除く)。
・フリーキックで罰せられる反則を行い、全体的にその反則を行った競技者のゴールに向かって動いている相手競技者の得点または決定的な得点の機会を阻止する(以下の「得点または決定的な得点の機会の阻止」に規定される警告の場合を除く)。
・著しく不正なプレーを行う。
・人をかむ、または人につばを吐く。
・乱暴な行為を行う。
・攻撃的な、侮辱的な、もしくは下品な発言をする、または行動をとる。
・同じ試合の中で2つ目の警告を受ける。
・ビデオオペレーションルーム(VOR)に入る。
退場を命じられた競技者、交代要員または交代して退いた競技者は、競技のフィールド周辺およびテクニカルエリアから離れなければならない

https://www.jfa.jp/laws/soccer/2022_23/

上記の中で該当すると思われるのは赤太文字にした部分。

スロワーの真横(及び副審の真横)まで訪れて抗議を行っていたのだが、試合継続の妨げ、不正なプレーとして捉えられてもおかしくはない。

また実際に攻撃的、侮辱的、下品な発言をしていたかは不明。だが当該選手の抗議(行動)にはたしかに該当する。

控え選手の退場のためピッチでプレーする人数に変わりはないが、貴重な控えをこのような形で退場となったのは非常に痛かった。

追記1(2023年6月24日22時55分ごろ)

退場となった選手本人のツイートでは、主審副審には頭を叩かれたから退場処分(=副審の頭部を叩いたから退場処分)と言われたたとツイート。

本人は意図していなくとも、抗議中に副審に手が当たってしまったとすれば、攻撃的な行動をとるに該当するため退場の対象となったのかと思われる。

抗議シーンを見直したのだが、副審との距離が非常に近く、抗議の度合いも(映像で見ていた限り)強め。ジャッジの内容がどうであったかは別として、審判団への暴力行為とみなされる行いは容赦のない制裁が下される。
(※長時間の抗議であればイエロー程度で済んだのだろうが、審判の頭部に手が当たったのであればレッドカード事案)

追記2 2023年6月24日23時25分ごろ

【横浜FC】痛い珍事…ベンチの三田啓貴が1発レッド 理由は判定に抗議の際のレフェリーへの接触 - J1 : 日刊スポーツ
横浜FCのベンチメンバーであるMF三田啓貴(32)が、出場しないまま1発退場となる珍事が起こった。前半ロスタイムに、スローインの判定を巡り、三田がアシスタント… - 日刊スポーツ新聞社のニュースサイト、ニッカンスポーツ・コム(nikkansports.com)

横浜FCのベンチメンバーであるMF三田啓貴(32)が、出場しないまま1発退場となる珍事が起こった。前半ロスタイムに、スローインの判定を巡り、三田がアシスタントレフェリーに猛抗議。この際に、三田が副審に触れてしまったことで、レッドカードを提示されることとなった。

(中略)

「(三田)本人が本当に触っていないと言っているので、かすったぐらいなのかもしれない。あれだけ選手が違うと言っているので、不可解というか…。試合終盤に大きく影響する退場になってしまった」

退場が確定した後は、横浜FCのスローインで再開。退場事象の確認のためにVARが介入したことで、くしくも三田の抗議の内容自体は正しかったことが証明されるということになった

【横浜FC】痛い珍事…ベンチの三田啓貴が1発レッド 理由は判定に抗議の際のレフェリーへの接触

よく考えたらVAR介入してたわ。
(本稿でVARについて言及していたのも忘れていた)

やはり意図している・いないにかかわらず、副審に手が出てしまったのが退場処分を下された一番の原因だろう。

余談

なんやかんやあって結局横浜FCのスローインで再開された。
(その”なんやかんや”が重要だろ!!)

どのタイミングでジャッジが覆ったのかは不明。レッドカード退場前、主審と副審が話し合っている段階で覆っていた可能性もあるし、VAR介入中に指摘され変更した可能性もある。

ただしVARは退場の判断が妥当であるか確認していたため、ジャッジ変更へ直接的に関わっていたとはあまり思えないというのが個人の感想。

多分主審と副審の話し合いで最終的なジャッジは既に変わっていた(主審は横浜FCボールと判断していた)のではと考えているのだが、まあどうせジャッジリプレイ案件だろうから詳しくはそちらを見てほしい。

なお試合は横浜FCが先制するも、後半80分台に京都が怒涛のゴールラッシュで逆転。結果2-1で京都の勝利となった。

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